2016.9.30 JARL埼玉県支部で開催された、ARDF関東地方本部大会に出席してきました。
ARDF参加は初めてですし、まして3.5MH帯域での電波探索も競技としては初めての経験です。
ARDF自体、競技規程は下記で詳細が決まっています。
今回は多少ローカルルールが適用されましたの、今回の経験をかいつまんで紹介します。
◆参加クラス分け
上表のように性別と年齢層により、グループ分されています。私は50歳以上59歳以下のM50クラスで参加しましたが、自分の年齢より年老いたグループへの参加はできませんが、若い年齢層へ変更しての参加は可能です。
上表のように、M21は、TX1~5、M50は、TX1、TX3~4など、クラスにより探さねばならないTX数とTX番号もルールで決められていて、私のM50クラスはTX2以外を探索です。
表彰は各クラスごとに以下の数になっています。
◆スタートの手順
・参加グループが入り混じった状態で5名~10名程度のスタートグループに分けられ、各スタートグループが5分の間隔をあけてスタートします。私の第5組(10:50分スターグループ)にはM19が2名、M15、M21、M50、M60Mが各1名の合計6でスタートの順番を待ちます。同世代の上級者へのにくっつき作戦がとれないようになっています。
・15分前に呼び出されます
・10分前に地図が渡されます(ここで初めて競技範囲の地図が確認できます、スタートとFINIHの地点を書き込みます。)
・5分前スタートラインに並びます。まだ受信機の電源は入れてはいけません
・0分 無線機の電源を入れることが許可され、探索開始ライン(スタートラインから見えない先に設定されている)まで移動が許可されます。ここで、参加者は一斉に走り出しますが、私は歩きました。RIGの電源を入れてもアンテナを回しての探索はまだ許可されていません。
・探索開始ライン:ここからやっとアンテナを回しての方向探索が許可され実際の探索スタートとなります。
◆TXの概要(一般の大会では、2m部門もありますが、今回は3.5MHz部門だけでしたので、今回の大会時のものに限定して書きます。)
(1)TX本体
・韓国製送信ユニットに自作ID発信機とバッテリが小荷物弁当箱に詰められたものがTXになります。これで、3.5MHz帯 3Wで送信されます。
(2)電波の発射方法
・TXは5個ですが送信機としてはさらにゴール用のビーコンというのがあって全体では6つの送信装置が電波を発信します。TX1~5は同じ周波数(今回は3.52MHz)で競技開始前に同時にリセット(同期)され、装置がそれぞれ自らのタイマーで5分間隔で1分間のCW電波を(ずれて)発射します。ビーコンはTXとは別周波数(今回は3.57MHz)で、常時発射されています。
0~1分 MOE (TX1) 3.52MHz
1~2分 MOI (TX2) 3.52MHz
2~3分 MOS (TX3) 3.52MHz
3~4分 MOH (TX4) 3.52MHz
4~5分 MO5 (TX5) 3.52MHz
5~6分 MOE (TX1) 3.52MHz
6~7分 MOI (TX2) 3.52MHz
・
・
繰り返し
常時 MO (ビーコン)3.57MHz
という具合です。
(2)ANT
グラスファイバー製の約6mの釣竿の下部にローディングコイルを入れた1/4λの垂直ホイップアンテナが使われました。下部には十数mのカウンターポーズが2本地面に180度開いて這わせています。
(3)TXの目印
6mのグラスファイバのアンテナ自体が目印になってしまう場合もありますが、大抵は林とか公園とか外部に同化して目立ちませんが、アンテナの下には決められたTX目印(三角錐形をしたフラッグ)があり、これにTXのID番号が書いてありますし、近くに時間記録用の為のなんらかの仕掛けがあります。
(4)TXの設置される条件
今回は競技範囲が狭いこともあり特別ルールが適用されましたが、通常は、
・スタート地点から750m以内にはTXなし
・各TXは直線で400m以上離れている
という距離条件や、送信出力の条件がきめ細かに決められています。
◆SI電子カードの概要
TX発見時刻を記録する方式には色々あるようですが、今回はSI電子カードを使っていました。
指先に装着したカード(カードらしくないのですが、皆さんカードと呼んでいます)を装置の穴に入れるとそこで時刻が記録される仕組みになっていて、回収したカードで成績を迅速に集計できる仕組みになっています。
カードは、スタートライン、各TX、ゴール(FINISH)の各ポイントで各装置の穴に入れる必要があります。
カードは指先にマジックテープで止めるのですが、無くすと4,000円とられるのみならず競技リタイヤになる為皆さん落ちないように紐で補強します。
◆サクラ草公園の概要とTXの位置
今回の競技で渡された地図です。スタート(△)とゴール(◎)はスタート時に書き込み、各TX(○数字)は競技終了後に記入しました。
今回は、TX2とTX5間が直線で約2kmの距離で、私はTX5,TX1,TX4,TX3,FINISHと割合と最短ルートでしたが、それでも探し回った距離の合計は万歩計で10,000歩程度でしたので8km弱ぐらいといったところです。
◆競技で上位となるには
(1)ひたすら走る・・私は走るのが苦手なので上位入賞は無理そうです。
(2)受信機の高性能化・・中国製の安い受信機でもそこそこ探索はできますが、周波数の安定度/選択度/指向性/減衰機能/機械的にダイヤルをさわれないような物理構造などの改造・自作を上位入賞者はほとんどやっています。
下記は中国製受信機を改造した例です。
(3)地形的概要の把握・・今回はフラットな公園内でしたが、通常は起伏に富んだところが多く高低差や山/谷、河川、湖などを地図から読み取る知識が要求され、また方位磁石と地図の連携も必須のようです。
(4)TXを回る順番イメージ・・ひとつのTXは5分間隔なのでTXを一つずつ追いかけていてはだめです。作戦は色々あるようですがTXを回る順番をまず決めてから最短ルートになる順番で探すのが良いのですがなかなかできません。
今回、クラスに関係なくて(総合では)全日本大会でも常勝のM21クラス参加のJR1EYZ大野さんなのですが、全5TXを47分という時間で見つけています。私は4TXで73分でしたので、いかに差が大きいかわかります。
(最後に)
3.5MHzの伝播特性は、2mや430と違って反射がないので極めてシンプルな方向性が出ます。(ただし、電灯線の下とかは誘導波で受信が強力になるのでダメ)。3.5MHzで指向性なんかでるのか?という疑問を私も当初抱いておりましたが、不思議なものでバーアンテナを内臓しボタン操作でカージオイド特性を出せる中国製の安い受信機(ネットで送料込みでも4,5千円で入手可能)も確実に探索ができます。
是非皆さんも始めてはいかがでしょうか?
(参考写真)
中国製の3.5MHz受信機 R3500D
周波数は、あらかじめダイヤルにおおよその周波数を書いておきます。
競技中誤ってダイヤルを動かしてしまわない対策も本当は必要なのですが、現状無対策です。
このメーカーのRD3500ホームページ(中国語) い